ケミカルエンジニアのTips&Note

化学メーカーで働く中堅エンジニアの技術ブログ。

【小ネタ】スチーム温度を簡単に概算する方法

こんにちは。

ちょっとしたお知らせです。最近、Twitterを始めました。
ブログ記事のアップデートやちょっとした学びをツイートしてるので、良かったらサイドバーのボタンからフォローしてください。

 
プラントの熱源としてよく使われるスチーム。
基本的にはその温度は圧力、つまり水の飽和蒸気圧と沸点の関係になっていることを以前、以下の記事で解説しました。

www.chemi-eng.com


今回はそのスチームの温度の概算方法とその精度について解説します。
既にTwitterでもその方法については紹介しましたが、より詳しい説明をした方が良いかと思いましたので、記事にしてみました。

 

 

スチーム温度の概算方法

結論から言うと、以下の式でスチーム(飽和水蒸気)温度の概算が簡単にできます。
ただし、使用する際は各単位、特に圧力の単位がatmである点には注意してください。

現場に出ているときはすぐに蒸気表を確認することや、Antoine式で計算ができません。

そのような場合、この式を使用すれば、関数電卓を数回叩くだけですぐに計算できるので非常に便利です。
ちなみに、私もよく使用しています。

f:id:y_chemi:20200619183533p:plain

スチーム温度の概算方法

 

概算の精度

次にこの概算はどの程度の精度かを見ていきたいと思います。

下の図は、飽和水蒸気と温度の関係の文献値(下記リンクより抜粋)、上で紹介した概算式、文献値と概算式の誤差を示したものです。

https://www.azbil.com/jp/product/factory/download/catalog-spec/SP1-CV2014-Sec10-3.pdf

100~300℃(1~80atm)の広い範囲で誤差±2%の範囲で収まっており、この式で精度よくスチーム温度を概算することができることがわかります。
これくらいの精度であれば十分、実用可能な範囲かと思います。

f:id:y_chemi:20200701183255p:plain

概算の精度