今回はPFDとP&IDについてです。
エンジニアはこれらの図で他のエンジニアや工事業者とコミュニケーションをとりますので、プラント設計には欠かせない非常に重要なものですね。
それぞれの役割と情報は以下の通り。
・PFD
Process Flow Diagramの略。プロセスを考えるときに一番最初に作成すべきもの。
原料から製品を作るプロセスフローを記載する。プロセス全体をわかりやすく見せるために1枚にまとめることが多い。
PFDをもとに物質収支(マテリアルバランス)、熱収支(ヒートバランス)を作成する。作成者はプロセスエンジニアの場合が多い。
主に記載される情報は以下である。
- 主要機器
- 配管はメイン部のみ
- バルブは基本的に省略
- 計装は主要箇所の調節弁と計器のみ
・P&ID
Piping & Istrumentation Diagramの略。原料から製品を作る全ての機器とフローを記載する。PFDより多くの情報が含まれており、枚数も多くなる。P&IDをもとに工事業者などで配管図を作成する。
また、PID制御のPIDとは異なる。私は区別するため必ずアンドをつけてと呼ぶようにしている。PIと呼ぶ人もいる。
各社、各事業所で記載ルールが異なる場合があるので、慣れていないところのP&IDを扱う場合はレジェンドシートと呼ばれるシンボルなどの表記を定義するシートを確認する。
作成者はプロセスエンジニア、機械エンジニアの場合が多い。
主に記載される情報は以下である。
- すべての機器、配管、バルブ、計装と制御ループ
- 配管にはその大きさ、耐圧、耐温、材質、流体を 示すライン番号
- バルブの大きさ、種類をシンボルおよび番号で表記
- すべての計装の変数(圧力:P、温度:T、レベル:Lなど)と役割(指示:I、警報:A、調節:Cなど)
例 温度指示調節:PIC、レベル指示アラーム:LIA
- 機器の基本スペック(容量、内径、直胴部長さ、設計温度、設計圧、材質、ポンプ揚程、流量、塔段数など)
- 図中に表しきれない特記事項はNoteに記載
また、新しい製品の新しいプロセスの図(特にP&ID)をゼロから作成するのはベテランエンジニアでも非常に難しいもので、一人では作成できません。
一度作成したらそれで完了ではなく、関係者とのレビューやHAZOPを通して何度も修正してブラッシュアップしていくことになります。
言葉で説明されるだけでは理解できないと思います。プラントエンジニアの方は実践あるのみで、作成や読み込む作業を通して慣れていきましょう。
今回はプラントエンジニアにとって非常に重要な道具の一つであるPFDとP&IDについて説明しました。
特にP&IDの作成は運転、設計、保全について理解していないと、良いものはできません。
まずはP&IDを正しく読み取れるようになることです。作成能力は総合的な技術力を培わうことで向上しますので、焦らず徐々に上達していきましょう。