ケミカルエンジニアのTips&Note

化学メーカーで働く中堅エンジニアの技術ブログ。

【資格】若手プロセスエンジニアに資格取得を推奨する理由と取るべき資格

こんにちは。
今回はプラントで働く技術者、特にプロセスエンジニアと呼ばれる職種にとって、必要な資格を紹介したいと思います。
(他の機械エンジニア、電気計装エンジニアについてはあまり知らないので、書けないのです。。すみません。)

 

 


資格取得を推奨する理由


私は若いエンジニアにはいつも資格取得を推奨しています。
その主な理由が2つです。

 

基本的なエンジニアリング技術を学ぶ

一つ目は基本的なエンジニアリング技術を学ぶ良い機会となるためです。

プラントで働く大卒・院卒のエンジニアにとってベースになるのが、プラントエンジニアリングの基本的な技術・知識です。
ところが、私の会社ではプロセスエンジニアとして配属される人の半分程度は化学系出身で、プラントエンジニアリングの知識が全くない状態からスタートします。
残り半分は化学工学系出身で、この人たちは少しプラントの技術を大学で勉強してきていますが、仕事をする上で必要な知識は非常に幅が広いので網羅できているわけではありません。

このような新人エンジニアに不足している基本的な技術・知識を学ぶのによい機会となるのが、資格取得です。

注)誤解のないように補足しますが、プラントエンジニアリング技術に絞った話をしたので、上記のように書きましたが、当然化学系の人たちにも強みはあり、化学工学系の人の方が優秀だという意味ではないです。

 


法律を学ぶ

二つ目はプラントで仕事をする上で避けて通れない法律を学ぶ良い機会となるためです。

化学プラントは危険なものを大量に扱うため、様々な法律によって規制を受けています。例えば、消防法、高圧ガス保安法、労働安全衛生法、環境関連法規(大気汚染防止法、水質汚濁防止法)などです。

学生時代にこれらの法律が何をどのように規制しているか、勉強したことのある人はいないでしょう。
そのような状態で仕事をした場合、知らないがために、法を犯してしまう可能性があります。当然、悪気があるわけではありませんが、最悪の場合逮捕されることもあるでしょう。知らぬは悪です。

もちろん、それなりの規模の会社であれば社内に法律に詳しい人がいて、その人に聞けば、解決することがほとんどでしょう。
しかし、気にもとめないところが法律で規制されていた場合はどうでしょう。人に聞くこともせずに、見過ごしてしまうかもしれません。
そうならないためにも最低限の知識は持っておく必要があります。

その法律の勉強をする良い機会となるのが資格取得なのです。
法律についての勉強は全くおもしろくありませんので(個人的な意見ですが)、必要に迫られないと勉強をしません。
ほとんどの資格試験には法律に関する科目が必ずありますので、否応なしに勉強せざるを得ないのです。

 

プロセスエンジニアが取得すべき資格

私が思う取得すべき資格を難易度とともに一覧表にまとめました。
この一覧表の資格はすべてプラントの規模や取り扱い物質によって、一定数の有資格者が必要となる法定資格で、私の会社でも管理職の多くがこれらの資格を持っています。

推奨順序はあくまで個人的に役立ったと思う順序なので、参考程度にとらえて頂き、法定資格者の数が足りないなど会社の都合がある場合はそちらを優先して取得する方が良いでしょう。

また、講習会のみで取得できる資格は、この記事で紹介した資格取得の目的から少し外れるので除外しました。当然、そのような資格にも重要なものがありますので、会社の指示や必要性に応じて取得してください。

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取るべき資格 一覧

危険物取扱者 甲種

まず取得すべきなのは、危険物取扱者 甲種です。
これはその名の通り危険物を取り扱うために必須の資格です。
プラントに限らず、研究所なども化学メーカーの中には危険物がたくさんありますので、この資格がないと話になりません。研究開発含め化学メーカーで働く技術系の人は皆持っていると言っても過言ではない資格です。
難易度が低めなのも、最初に取得する資格にうってつけかと思います。

 

高圧ガス製造保安責任者 甲種化学

次は高圧ガス製造保安責任者 甲種化学をお薦めします。
高圧ガスというのは、圧力の高いガス、もしくは、液化ガス(沸点の低い化学物質に圧力をかけて液体にしているもの)を指しており、それらを取り扱うには必須の資格です。
私自身、資格取得の際に広くエンジニアリングの知識を学べたのが良かったので、二番目にしました。

 

エネルギー管理士

エネルギーの使用に関する管理や合理化に関する知識が問われる資格です。
こちらも高圧ガス製造保安責任者同様、エンジニアリング知識の習得に役立ちました。

 

第一種衛生管理者

職場の安全・衛生を管理するための知識が問わる資格です。
例えば、労働環境、健康に悪影響を及ぼす化学物質を扱う際の管理、従業員への教育や健康診断に関するものなどです。
この資格の勉強では、エンジニアリング技術はほとんど学べませんが、学生時代には全く知らなかった安全・衛生に関わる知識を得ることができたのが良かったです。
会社では安全・衛生は最も重要な項目であり、部署を管理する立場になる場合には必ず必要な知識です。
私も少しずつ部署を管理する仕事をやるようになり、この資格での勉強が役立っています。

 

公害防止管理者 水質一種、公害防止管理者 大気一種

環境関連の資格です。
化学プラントでは必ずと言って良いほど排出している排ガスや排水の管理に関する知識が問われます。
プラントで仕事をするには必須な資格で、私も現在取得に向け勉強中です。

 

最後に

今回は化学プラントのエンジニア、特にプロセスエンジニアが取得すべき資格について紹介しました。
資格取得は目標がはっきりしているため、学習のモチベーションアップにもなります。また、会社によっては特別な給与加算があったり、昇進や転職のときに有利になったりと、資格をとって損なことはありません。
ぜひ資格取得に向けてがんばってみてください。
かく言う、私もまだまだ勉強しなければ。。